情報提供医師

石橋 徹(福岡ひざ関節症クリニック 院長)

医学博士/日本整形外科学会認定 専門医/日本リウマチ学会認定 専門医

石橋医師の詳しいプロフィール

膝のヒアルロン酸の役割

関節は関節包という袋状の組織で包まれていて、その中は関節液という粘り気のある液体で満たされています。この液体は膝にかかる衝撃を和らげたり、膝の動きを滑らかにしたりといった「潤滑油」のような役割をするのですが、この働きを支えている物質がヒアルロン酸です。
また、ヒアルロン酸には関節軟骨に酸素や栄養を届けるという重要な役割もあります。

ヒアルロン酸注射の目的

ヒアルロン酸は加齢とともに減少していきます。また、変形性膝関節症の方の場合、軟骨や半月板に含まれるヒアルロン酸も減少しているので、本来はぬるぬると粘り気があるはずの関節液がサラサラとしています。
ヒアルロン酸注射の目的は、この不足したヒアルロン酸を注射で補い、関節液の粘り気を取り戻すこと、ひいては関節の動きを滑らかにして軟骨を保護することです。過去の臨床研究では、膝の痛みやこわばりの改善効果も報告されています[1]

こんな人にオススメです

ヒアルロン酸注射が奏功すると考えられるのは、このような方々です。

痛みが強く、運動療法がはかどらない

変形性膝関節症の治療の基本は運動療法ですが、痛みのせいで運動療法がはかどらないようでは、症状の悪化につながる悪循環を断つことはできません。即効性と高い効果が期待できるヒアルロン酸注射を受けることで、治療に専念できる環境をいち早く整えることができます。

膝に水が溜まっている

ヒアルロン酸は炎症を引き起こす物質との関連性も指摘されており、変形性膝関節症の原因に直接アプローチできる治療法と考えられています。
特に膝に水が溜まっている場合、症状に顕著な改善が見られます。

薬物療法の副作用が激しい

飲み薬は膝関節の治療でも頻繁に用いられますが、患部だけでなく全身に影響があります。例えば、変形性膝関節症の飲み薬(痛み止め)では胃腸障害という副作用のリスクがあります。患部に直接注入するヒアルロン酸注射の場合、こうした副作用の心配はありません。

患部への作用

変形性膝関節症は、膝軟骨成分の劣化と損傷に端を発します。損傷した軟骨の成分が膝の滑膜という組織を刺激し、その結果引き起こされる炎症が痛みの主要な原因の一つです。
注射によって投与されたヒアルロン酸は、損傷した軟骨組織に作用し、例えば軟骨基質分解酵素(MMP/ADAMTS遺伝子)、すなわち軟骨組織の損傷を引き起こす酵素の発現を抑制します[2]。その結果、炎症が抑えられ、痛みが改善すると考えられます。

メリットデメリット

メリットとしては、薬物療法に比べて比較的早期に効果が実感できること、軟骨の保護と痛みの改善が期待できること、さらに注射剤なので全身に影響するような副作用が無いこと、経済的にリーズナブルという点があります。
一方デメリットは、効果が持続しないこと、繰り返し注入することによるリスクが懸念されること、感染症のリスクを伴うことなどが挙げられます。
急場をしのぐ治療としては有効ですが、長期間継続する治療という位置付けではないとお考えください。

メリット デメリット
軟骨の保護が期待できる。 持続的な効果は期待できない。
短期間で痛みの改善が期待できる。 繰り返し使用することで効かなくなってくる。
全身への悪影響はない。 長期的には軟骨への悪影響が指摘されている。
費用が安く手軽。 感染症のリスクがある。

リスクと注意点

ヒアルロン酸注射は、膝の動きを滑らかにし、膝のクッション機能の補完に役立ちます。効果を実感しやすいので、日本の膝関節治療では頻繁に用いられる治療法です。
しかし、世界に目を転じると、ヒアルロン酸の関節注射はあくまで補助的な治療法として位置づけられているようです。実際、OARSI(国際関節症学会)では、薬物療法やヒアルロン酸注射など、一時的な改善しか期待できない治療法の優先度は低くなっています。
ヒアルロン酸注射を繰り返し受けることで膝関節が弱くなり、変形も早く進むという意見もあります。これは何もヒアルロン酸自体が人体に悪影響を及ぼすということではなく、なまじ痛みだけがおさまることで弱った関節を酷使してしまい、結果的に悪化スピードを速めるということです。
一時的に痛みを回避するための手段としては有効ですが、長期的に使い続けることは避けるべきだと考えます。

治療の流れ

  • 1.受診のご予約

    当院は完全予約制です。
    必ず事前にお問い合わせください。

  • 2.診察

    ご予約いただいた日時にご来院いただき、医師による診察を受けていただきます。

  • 3.治療

    診察の結果、適応が認められた場合はヒアルロン酸注射を投与します。

費用

ヒアルロン酸注射

1本(2.5cc)
¥5,000

サイビスク

1本(2cc)
¥30,000

※当院の価格は全て税抜きで表示しております。

 

初診料やMRI診断料、その他の治療の費用については、料金表をご確認ください。

医療費控除について

医療費控除用の確定申告書には、支出を証明する書類(領収書など)が必要となります。領収書の再発行は致しかねますので、制度のご利用を検討されている方は、当院発行の領収書を確定申告まで大切に保管ください。
◆確定申告書の記載方法については、こちらの『医療費控除用の記載例』をご参照ください。

よくある質問

ヒアルロン酸注射は痛いですか?

ヒアルロン酸注射は非常に痛いとおっしゃる方がいらっしゃいますが、おそらくそれは、きちんと関節の中に注入されていないのではないかと考えられます。
標的である関節腔内に注入すれば、ほとんど痛みを感じません。どうかご安心ください。

痛みがなくなったら途中で止めても大丈夫でしょうか?

必要性を感じないのであれば止めていただいて構いません。ヒアルロン酸注射は、癖にならないように気をつけてください。

保険で5回注射しました。続けた方が良いでしょうか?

痛みを感じないのであれば続ける必要はありません。ヒアルロン酸注射は、痛みがどうしても我慢できない時、運動療法に支障をきたすような時に検討すべきもので、長期間継続するものではないと考えています。

ヒアルロン酸注射は繰り返し打っても良いものでしょうか?

痛みの回避をヒアルロン酸注射だけに頼って繰り返し投与することは好ましくないと考えます。あくまで運動療法を基本とし、それを補助する位置付けとして捉えてください。

ヒアルロン酸注射が効かなくなってきたのですがどうすれば良いでしょう?

ヒアルロン酸を繰り返し投与することで、徐々に効果が得られなくなる、あるいは効果の持続時間が短くなるということはよく見られます。これは膝の損傷具合がヒアルロン酸では誤魔化しきれないくらい進行していることを意味しています。
対策としては、痛みを回避する治療から、痛みの根本を改善する治療にシフトすることが考えられます。例えば人工関節置換術もその一つですが、当院がご提供している治療法でいえば、培養幹細胞治療やPRP-FD注射といった治療がそれに当たります。詳細はリンク先をご覧いただきたいのですが、これらは再生医療(またはそれに準じた治療)で、痛みだけでなく、関節の機能そのものの回復も期待できる治療法です。手術のように体に負担がかからないので、高齢者の方にも無理なく受けていただけます。
PRP-FD注射培養幹細胞治療

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